- タイル職人
- 直井秀樹
精密な仕事だからこそ面白い!!
単調な仕事<複雑な仕事 ここに仕事の面白みを感じるか否かで
職人気質が有るか無いかが決まる。
タイルを一枚一枚丁寧に貼る直井秀樹さん。手間のかかる注文が多い現場で、拘りを持って黙々と仕上げていきます。「どんな職種であっても自分の仕事に拘りを持ち納得できないような仕事はしない、それが職人でしょう」と語る直井さんに、タイル職人としてのプライドと拘りについて伺いました。
タイルは内装・外装を問わず、玄関ポーチや外壁、デッキ、キッチン、トイレ、お風呂など、多くの場所で使われますが、納得のいく仕上がりにする為にこだわっている事は何でしょうか?
整然と貼られた仕事の裏側となる、下地、墨出、割付には実は強い拘りを持っています。上面だけを綺麗に仕上げてもこの部分を丁寧に施工しないと、出来上がった時の見た目はよく出来ても、すぐにクラックが入ってしまったりします。クラックが入ってしまう原因はこれだけでは有りませんが、そうならない為のひとつとして、自分が住む家のように思い、パッと見の仕上がりだけでなく、耐久年数等を考慮し、良いものを造るために、この部分には拘りを持っています。
父である社長の後継者としてこの道に入られたそうですが、迷いなどは無かったのですか?
流れ的にも自分はタイル職人になると思っておりましたので迷いは有りませんでしたが、社長の意向で二十歳の頃に社長の兄弟子にあたる方の会社で5年間修行をさせて頂きました。タイル貼りは単純作業ように思われるかもしれませんが、奥の深い技術と経験が必要です。若い頃でしたので失敗も沢山経験してきましたが、失敗を失敗のままにせず、最終的には誰に見られても恥かしくない仕事をすることを学びました。同じ業界でも様々な職人達がいて、その心技を深く学びました。
外装のタイルの施工は雨が少しでも降ったら行えないと聞きましたが、スケジュール管理はどのようにされているのですか?
週間天気で各現場の工程と人員の振り分けをしています。梅雨の時期のようなこれからの季節は、雨の日は内装の仕事と現場の工程 をうまく組立てながら仕事をしています。
「職人は一本義でそれを突き通す事はあっても、仕事は常に丁寧にする穏やかで広い心が無いと出来ない、続かない仕事」という直井さん。現場は静かとは限らないですが、細かい作業なのでどう集中されているのでしょうか?
基本的に細かい作業が得意ですので面倒だとは思いません、それにこんなに繊細な仕事ですのでイライラしていたらできないですから。
職人=頑固=怒っているというイメージからイライラしているように見えるのかも知れませんが、最後の納まりを逆算しながら目地を合わせていくことに全神経を集中させているので、他の音は耳に入ってきませんね。アーキッシュギャラリーの現場は、我々職人が集中しているところをうまく切らさないように、配慮して現場を仕切ってくれるので、とてもやりやすいと感じています。
「社長の技術は、経験も多い分、天気や風土、環境に沿った施工が出きる職人技を創りだします」と語る直井さん。その技術を活かす上で心がけている事は?
タイルを貼る職人の技術と、今はタイルを貼る為のボンドの調合の技術にも磨きをかけています。 タイルは1センチ角の物から60センチ角の物など、色や形、重さ、材質も様々、しかも見た目は同じような物でも常に新しいタイルがつくられています。タイル貼りは現場の環境にも影響されます。風通り、湿気、揺れ、等もかかわってきますので、その為、貼りつける為のボンドの調合が重要になってきます。ボンドも同じような用途の物でもメーカーによって配合が違ったりしますので、材料屋に行き現場で施工をする前に一度試し貼りをし、新しい材料だから貼ってみないとわからない、というようなことの無いようにしています。社長のように鼻が利くようになるには、まだまだ経験を積まなくてはなりませんが、プロとして恥ずかしく無い仕事を心がけています。
直井 秀樹 / HIDEKI NAOI
タイルや瓦など重たい物と分類される物は落ちる、割れる、危険というイメージがどうしてもあります。とくに東日本大震災の後では、関東においては不安材料の一つになっていると思います。我々タイル職人からすると、タイルは落ちていない、落ちたのはタイルを貼った壁で、壁が落ちたのでタイルが落ちたのです。タイル貼りの壁が落ちたのであれば、タイルが施工されるのが前提であった躯体が悪いということにもなります。私たち職人も誇りを持って仕事をしておりますしここに貼ったらまずいという仕上がりであった場合はきちんと現場監督に相談をしています。せっかくタイルを貼りたいと言って頂いたのですから、綺麗に貼るのはもちろん、安全面にも最大限の配慮をして、長く住んで頂けるようにしたいと思っています。