私達は、家を建てるのは一生に一回限りだと考えていたので絶対に後悔はしたくないと、東海三県の住宅展示場はほとんど踏破し、大手ハウスメーカー3社でプランニングもしてもらいました。しかし、ハウスメーカーの家創りはそのメーカーの得意な同じ形に収束して行くようで私たちにはつまらなく感じてしまい、なかなか進展しませんでした。
そんな折、アーキッシュギャラリーの完成見学会に参加させて頂き、個性とこだわりのあふれる家を見学し、ここしかないのでは…と。
プランニングステージが始まっても、具体的なイメージを示す事ができない私達は曖昧な要望を羅列するばかりで、こんな調子でちゃんと伝えられるのかなと不安になるほどでしたが、田中義彰先生や担当コンダクターの月森さんは要領よく要望を引き出していってくれました。
そして出来たプランは地下ガレージを入れるには足りない土地の高低差をリビングをスキップフロアで持ち上げる事で実現し、庭との高低差を傾斜のつけた芝のマウントコートで解消するというものでした。
「これは面白い!」というのが第一印象でしたが、後々このプランには田中先生の緻密な計算が込められている事を知りました。1.5メートル程度持ち上がっただけで、リビングから俯瞰したマウントコートの芝は子供が転がって遊ぶのに丁度よく、近所のお友達にも評判は上々です。芝の手入れは結構大変ですが・・・
その後の打合せでも何度も何度も、繰り返し繰り返し納得するまで行われ、途中和室や趣味室の位置が大きく変更になったりしましたが、その都度、田中先生は上手くデザインに繋げてくださり、その度にしっくりくるデザインになっていったように思います。
思い返せば約2年間、時間もかかったし、打合せの回数も多く大変な面も有りましたが、『家づくりを楽しみつくしたな。』という満足感を感じております。
聞くところによると、田中先生と月森さんの間で激しいやりとりが有ったとか無かったとか…(笑)
それもこれも良い家を創ろうと言う情熱がぶつかり合ったものなのでしょう。そういう情熱をもった人たちと共に創り上げた家はまさに「自分の家」を誇れるものになったと思います。
工事担当の中村さんは自身の家の様に「いい家でしょ~!」と言ってくれます。アーキッシュのスタッフの皆さんはこだわりが強く、一棟一棟思い入れを込めて創っているのが伝わってくるので、施工管理に関して不安を感じる様な事は殆ど無かったように思います。
実際に住んでみて、色々な所に田中先生のこだわりと配慮に気づき【ここまで考えてつくってんのか~】とあらためて感心したりしています。
「建築家と建てる家。」というコンセプトは、まさに「家づくりを楽しみ尽くす!」ということなのだと思います。
設計者コメント
敷地は宅地造成された閑静な住宅地、ご夫婦と子供2人の住宅です。ご主人が車好きな事から、ビルトインガレージ1台と駐車場2台がご要望としてあり、庭と結びついた落着いた住宅を求めていらっしゃいました。1.5mの高低差を利用して北側にビルトインガレージを挿入し、ガレージによってできたボリュームのずれをスキップフロアへと活かしました。リビングと庭を繋げるため、ガレージを作る時に出た土を利用し外部と地続きのマウントコートとしました。また、中庭・吹抜けを作ることで住宅の内外部へと視線が抜け、ボリュームのずれと中庭やマウントコート、吹抜けを組み合わせることで、外部空間も含めて立体的に視線・動線が繋がる構成となっています。
- 設計事務所
- TSCアーキテクツ 田中義彰
- 得意分野
- 個人住宅、医院建築など
衣食住といわれるように、人と建築は非常に近い関係にあります。おいしい食事、気に入った服を着て気分が良くなるように人を幸せにする建築を創っていきたいと思います。敷地のローカリティを掴み、対話の中から生まれてくる「意味のあるデザイン」をすることが大切だと考えております。その建物が美しく、自然に周辺環境に溶け込み「One&Only」の特別なものになれば、人と建築の関係はより良いものになると思います。